和歌山市の土木建設会社「和大(わだい)興業」で、従業員4人が死傷した拳銃発砲事件。容疑者は逃げ込んだ会社近くのアパートで17時間以上立てこもった末、持っていた銃で自殺した。市民生活が脅かされる中、警察が発砲や突入など強硬手段をとらなかったのはなぜか。
籠城17時間、急転直下の結末 容疑者、逮捕後に死亡
和歌山県警は、4人が撃たれた事件の発生から約37時間後の8月30日午後10時過ぎ、殺人容疑などで指名手配した同社経営者の次男、溝畑(みぞばた)泰秀容疑者(45)を和歌山市内で発見。追跡中4発の発砲を受けながら反撃はせず、見失った。溝畑容疑者は31日午前1時過ぎから同社の西約100メートルのアパートに立てこもり、同日午後6時40分ごろ、自分の腹を撃ち、死亡した。
現場近くに住む女性(35)は31日朝、警察官に促されて自宅裏口から避難するまで、不安な時間を過ごしたという。「警察は何をしていたのかと思うと、今も悶々(もんもん)とする」と話す。
県警の丸木健嗣刑事部長は31日の記者会見で、立てこもり中、容疑者が両手に拳銃を持って引き金に指をかけており、周囲に住宅が密集していたことから「慎重にならざるを得なかった」と説明。捜査1課の保田彰(やすだあきら)次席も「突入は百%人命を守れる状態の時」で「今回そういう場面はなかった」と強調した。
警察が発砲を強く抑制する契機…