工事が進む豊洲新市場。正門の近くには水産卸会社「ホウスイ」が70億円をかけた最新鋭の冷蔵庫棟が建つ=江東区
江東区の豊洲新市場で、建物の地盤が土壌汚染対策の「盛り土」がされていなかった問題。中央区の築地市場からの移転の是非や時期が問われる事態になり、市場関係者の動揺は広がる一方だ。
「盛り土なし」設計当初から 都、豊洲市場の汚染対策
「冷やし始めた冷蔵庫棟は結露で傷むので、もう常温に戻せない。荷が空のままでも、電気代は月数百万円かかる」。豊洲市場に70億円かけ、最新鋭の冷蔵庫棟などを建てた水産卸会社ホウスイ。12日、担当者はこう嘆いた。
小池百合子知事が移転延期を表明した8月末から、損害額を見積もっていた。豊洲や築地での電気代、築地より6倍大きい施設のため増員した人件費、都に払う新棟の土地代、荷役機器のリース代……。10月の冷蔵庫棟完成式は見送りで、ホテルの会場キャンセル代は数百万円かかった。
移転が半年遅れるとして計算したところ、売り上げの損失と無駄な費用負担は2億円を超える可能性もある。盛り土問題で移転時期の見通しはさらに立たなくなり、担当者は「会社の業績にどれだけ響くかわかりません」と心配する。
影響は飲食業にも及ぶ。築地市…