大手自動車メーカー「スズキ」(浜松市)が、名古屋国税局から2015年3月期までの2年間で、約3億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。経理ミスなどを合わせた申告漏れは総額で約12億円に上り、追徴課税は重加算税を含めて約4億5千万円とみられる。同社はすでに修正申告し、全額を納税したという。
関係者によると、同社はレース用オートバイの在庫部品を使ったように装い、仕入れ費用を経費に計上。約3億円の所得を隠していたという。税務上、在庫部品の経費は、廃棄するか使った段階で処理することになっている。
また、開発を終えるまで経費として計上できない「開発費」についても、外部委託した開発費の一部を経費として処理したとして、国税局から約9億円分の申告漏れを指摘された。
同社広報部は取材に対し、レース用バイクの部品については「一般の部品より高額なので、念のために取っておいた。破棄する必要はないと思っていた」。開発費については「開発が終わったものと思っていた」と説明。「当局と見解の相違があったが、指摘に従った」と答えている。
同社のホームページによると、スズキは1920年の設立。軽自動車や二輪車などを販売する。売り上げ(単体)は2016年3月期で約1兆6千億円。