日米韓の防衛相は3日、アジア安全保障会議のため訪問中のシンガポールで約1時間会談し、北朝鮮の非核化に向け国連安全保障理事会決議に基づく制裁を継続していくことを確認した。ただ、会談後に発表した共同声明には、前回一致した「圧力」との文言が盛り込まれなかった。
共同声明では「完全で検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を目指すとともに、船舶に洋上で物資を積み替える「瀬取り」など北朝鮮による不法活動の防止に協力することを確認した。一方、南北・米朝間での対話の動きを踏まえ、「外交努力を引き続き支援する」ことが記された。
日米韓防衛相は昨年10月に会談した際、北朝鮮への「圧力強化」で一致した。今回は「圧力」を前面に打ち出さず、非核化に向けた北朝鮮の姿勢を評価し、具体的に動くよう後押しする内容となった。
小野寺五典防衛相は会談後、記者団に「北朝鮮がいま、対話の方向に踏み出している。当然、圧力と対話は両立して行っていく」と説明。その上で「我々は北朝鮮の非核化を目指すとのゴールは一緒だ」と改めて強調した。
米軍当局者によると、会談では12日に予定する米朝首脳会談も取り上げた。マティス国防長官は、在韓米軍は議題にならないとの見通しを示す一方、会談中に「最大限の圧力」との言葉を使わなかったという。トランプ大統領が1日、「『最大限の圧力』という用語を使いたくない」と述べたことを受けて、軌道修正したものとみられる。
韓国の宋永武国防相は会談冒頭で、「6月から北朝鮮が非核化の道に入る」と発言。「この道から外れることがないよう、我々3人がいっそう協力しなければならない」と融和姿勢を呼びかけた。(シンガポール=藤原慎一、峯村健司、武田肇)