落下したモノレールの客車のイメージ図
千葉県山武市の県立蓮沼海浜公園で昨年5月、母子が乗ったつり下げ式の電動モノレールの客車が落下した事故で、国土交通省は16日、調査部会の報告書を公表した。客車をつるす鉄製パイプの強度が弱く、補修の溶接もずさんで事故につながったと結論づけた。
事故は2015年5月、公園内を運行する電動のモノレールの客車(2人乗り)が全長180メートルのコースを回る途中に起きた。母(当時41)と長女(当時3)が乗った客車が約4メートル下の地上に落ち、母親が肋骨(ろっこつ)が折れる重傷を負った。報告書は、客車をつるすクランク型の鉄製パイプ(直径4・9センチ)が溶接不良か、経年劣化で破断したことが原因と結論づけた。
事故の約2週間前、管理する千葉県レクリエーション都市開発の職員がパイプに約3センチの亀裂を見つけ、鋼板を溶接して補強していた。しかし、手法が不適切で、報告書は「補強の効果はほとんどなかった」と指摘した。
また、2002年に客車をペダル式から電動式に変えた際、建築基準法に基づく届け出をしていなかったことも判明。パイプは建築基準法が求める強度の半分しかなかった。モノレールは今後、撤去される予定だ。(峯俊一平)