ロシア下院選(定数450、任期5年)が18日行われ、即日開票の結果、プーチン大統領の与党「統一ロシア」が3分の2以上の議席を固めて圧勝する見通しとなった。プーチン氏の外交・防衛政策に追随する準与党の「共産党」「自由民主党」「公正ロシア」も合わせた4党で議席をほぼ独占する見込みで、政権の基盤は揺るぎないものになる。
プーチン氏は18日夜、統一ロシアの選対本部を訪れて「困難な状況の中で、国民は社会と政治に安定を求めたのだ」と、勝因を分析した。2018年の次期大統領選に向けて、プーチン氏は再選を目指すにしても後継者を指名するにしても、事実上のフリーハンドを手にしたと言える。
ロシア国営ノーボスチ通信による19日午前3時15分(日本時間午前9時15分)時点での獲得議席予想は、統一ロシア341(改選前238)、共産党42(同92)、自由民主党40(同56)、公正ロシア22(同64)、その他5(同0)となっている。
比例代表での統一ロシアの得票率は開票途中の段階で50%強で推移しており、これは前回11年の選挙から微増。ただ、450議席を全て比例代表制で決めた前回下院選と異なり、今回は選挙制度改正で、半数の225議席を比例代表で、残る225議席を小選挙区で選んだ。統一ロシアは小選挙区で与党の強みを生かして多くの議席を押さえ、全体での圧勝につなげた。
一方で投票率は、大都市を中心に記録的な低さとなる見込みだ。モスクワ時間18日午後6時の段階で、モスクワは28・7%、サンクトペテルブルクは25・7%にとどまった。政権に批判的な中産階級が多い都市圏で政治への無力感や無関心が広がっている現状がうかがえる。低投票率も、統一ロシアに有利に働いたと言える。
前回の下院選後には、大規模な不正が行われたとして抗議する市民が街頭に繰り出し、モスクワなどで旧ソ連崩壊後、最大規模の反政府デモに発展した。しかし、今回はそのような事態を予想する識者は少ない。
中央選管は投票終了後、不正な票の水増しがあったとして、全国で3カ所の投票所の投票を無効とする方針を発表した。しかし全体として大きな不正はなく、選挙は成立しているとの見解だ。(モスクワ=駒木明義)(モスクワ=駒木明義)