カメラに興味を示すアカウミガメの子ども=竹谷俊之撮影
南国の礁湖(ラグーン)をイメージして作られた水槽の中を、色鮮やかな魚たちが泳ぐ。ガラス越しに見ていると、今夏デビューした1歳のアカウミガメたちが近づいてきた。何度も近づいては離れ、まるで「遊ぼうよ」と誘っているみたい。「いま目があったかも」と勘違いしてしまうほど愛嬌(あいきょう)たっぷりな表情を見せてくれる。
暑さが和らいだ9月半ば、鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)を訪れた。「エメラルドの入り江」と呼ばれる水槽は、幅16・5メートル、奥行き13・5メートル、深さは1・3メートルもある。白砂が広がる水底に360度動画用カメラを設置した。
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飼育員の村口直弥さん(25)によると、チョウチョウウオやハタタテダイ、デバスズメダイなど、主にサンゴ礁で暮らす魚たち約66種、約900匹をこの水槽で展示しているという。よく見ると、夏場に南房総近海に回遊してくるトビウオも泳いでいる。
多種多様な生き物たちの中で、ひときわカメラに興味を示したのが、アカウミガメの子どもたちだ。小さな口を精いっぱい開けて、次々にカメラをかもうとしてくる。その様子が、たまらなく可愛らしい。
同園周辺の海岸では毎年、アカウミガメが産卵する。一度に産む卵の数は平均で100個。ふ化に適さない場所に産卵した場合は同園専用の保護施設に収容し、千葉県の許可を得て、子ガメ数匹を研究目的で飼育している。
アカウミガメは海流に乗って移動し、北太平洋に広く分布。成熟すると日本の沿岸域に戻って繁殖活動をすることが多い。甲長80~100センチ、体重は100キロを超える個体もいるという。(竹谷俊之)