左足がない選手が相手を押さえ込む=ブラジル・サントアンドレ市、山本亮介撮影
日本の古流柔術が源流とされ、「グレイシー一族」の活躍でも有名なブラジリアン柔術がブラジルの障害者の間で広がっている。関節技や寝技が中心の競技は「パラ柔術」と名付けられ、9月には3回目の全国大会が開かれた。関係者は「将来はパラリンピックの正式競技に」と意気込んでいる。
左足のない選手が、右腕のない選手の奥襟をつかみ、持ち上げてから倒した。横のマットでは、両足の不自由な選手同士が座った状態から試合を始めた――。
サンパウロ市に近いサントアンドレ市立体育館で10日にあった全国大会。手足や視覚などに障害がある約50人が集まり、障害の種類や程度が似た選手同士で対戦した。
約4千キロ離れたマナウス市から参加したフラビオ・フェレイラさん(21)は昨年、オートバイ事故で左足のひざから下を失った。柔術は7年前から始め、事故後もジムで健常者に交じって練習を続ける。「畳の上では障害者であることを意識せず、集中できるのがいい」と笑顔で話した。
生まれつき両手のないリチャード・バルボーザさん(13)は寝技を返そうと必死に抵抗した。母エリカさん(39)はリチャードさんが柔術を始め、心が強くなったと話す。「歩けるようになるのにも時間がかかった子。一生懸命な姿を見ると、涙が出そう」
パラ柔術の誕生は、柔術家のリ…