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インドとパキスタンが帰属を争うカシミール地方を巡り、両国の軍事的挑発がエスカレートしている。29日には、インド軍の「越境攻撃」に応戦したパキスタン軍に死者が出た。ともに核保有国の印パの緊張は南アジア地域の安全保障や経済にも影を落とす。
対立の激化は7月、インドのジャム・カシミール州でインド治安部隊が分離独立を目指す独立派幹部を殺害した事件がきっかけ。その後、治安部隊と独立派デモ隊の衝突が続き、デモ参加者ら約70人が死亡した。9月中旬には武装勢力がインド軍基地を襲撃し、インド兵士18人が死亡した。
これに対し、インド政府は「パキスタン側から越境した武装勢力によるテロ」とパキスタン政府を非難。さらに、インド軍は29日、「特殊部隊がカシミールの停戦ラインを越えてパキスタン支配地域に入り、武装勢力の7拠点を急襲した。パキスタン側に大勢の死傷者が出た」と発表した。
インド政府がカシミールでの越境作戦を公表するのは極めて異例。「強いインド」を誇示してきたモディ首相が、国内向けに毅然(きぜん)とした姿勢をアピールしたい事情があるとみられる。
一方、パキスタン軍は「越境攻撃」はインド側のでっち上げで、実際にはパキスタン軍が即応して停戦ライン付近での銃撃戦があったとし、パキスタン兵士2人が死亡したと説明した。シャリフ首相は声明で「一方的で敵意むき出しの攻撃だ」と非難した。
印パの地元報道によると、交戦…