大勢の人たちが行き交うJR博多駅前のスクランブル交差点。「ピヨ」「ピヨピヨ」と「カッコー」「カカッコー」が鳴き交わす方式になっている=5日午後4時33分、福岡市博多区、河合真人撮影
横断歩道で視覚障害者を誘導する音響信号が出す音が、「通りゃんせ」などの音楽から「ピヨピヨ」「カッコー」といった鳥の鳴き声に全国で置き換えられている。視覚障害者がより安全に渡れるようにと改良が進み、警察庁が統一化を進めてきたためだ。
福岡市早良区と城南区の境にある荒江交差点。東西に走る国道の信号が青になると、頭上のスピーカーが「ピヨ」と鳴り、一息おいて反対側が「ピヨピヨ」と応える。交差する道路が青のときは、「カッコー」「カカッコー」と鳴き交わす。かつては「通りゃんせ」などのメロディーが流れていたが、1月に鳥の鳴き声を模した擬音式に切り替えられた。
両側で異なる音をタイミングをずらして出す音響信号は、擬音式の中でも「異種鳴き交わし方式」と呼ばれ、全国で導入が進む。3月末現在で、全国に1万9219基ある音響信号の45%を超えた。福岡県では主に東西方向が青になると「ピヨ」「ピヨピヨ」、南北方向は「カッコー」「カカッコー」になっている。
メロディー式から擬音式に変更を進めてきた警察庁は、異種鳴き交わし方式が最も誘導性が高いと分析している。2002年の実証実験では、視覚障害者の半分以上が「従来のものより横断方向の音が取りやすい」と評価。翌年、この方式に統一するよう全国の警察に通達を出した。
一方で姿を消しつつあるメロディー式の音響信号。かつては「赤とんぼ」「お猿のかごや」「どんぐりころころ」など20曲以上あったが、その後「通りゃんせ」と「故郷の空」に絞られていった。03年度には全国で2千基以上あったが、今年3月には12都県の527基に。03年度に781基あった大阪府ではゼロになり、近畿と四国では姿を消した。中国地方にも3基残るのみで、昨年度には神奈川県でもゼロになった。