東京電力福島第一原発事故をめぐり、当時の経営陣の賠償責任を問う株主代表訴訟の口頭弁論が13日、東京地裁であった。大竹昭彦裁判長は、政府事故調査・検証委員会での勝俣恒久元会長や元副社長らの調書について、年内にも国に文書提出命令を出すか判断する意向を示した。
国は、福島第一原発の故・吉田昌郎所長(当時)らの調書は一部を「黒塗り」にして公開する一方、勝俣元会長らの調書については「あるかないかも言えない」と回答。株主側は「経営陣の当時の認識を明らかにするためには、調書の全面開示が必要だ」として、文書提出命令を出すよう地裁に申し立てていた。
地裁はこの日、吉田所長や原子力安全・保安院の担当者(当時)ら3人分の調書について、「黒塗り」部分を裁判所に示すよう国に命じる決定を出したことを明らかにした。国は今週中にも黒塗り部分を提示する見通しで、地裁は提示された調書を裁判官だけで審理して、非公開部分を証拠として採用するか決める。