兵庫県姫路市の製鉄記念広畑病院の医師が昨年7月、内視鏡検査を受けた同市の70代の男性患者の十二指腸に、誤って劇物のホルムアルデヒドを含むホルマリン液を注入していたことがわかった。男性は13日、十二指腸の粘膜がただれたり、はれたりして重傷を負ったなどとして、当時の内科部長について業務上過失致傷の疑いで告訴状を県警網干署に提出した。
告訴状によると、男性は昨年7月22日に内視鏡検査を受けた際、10%濃度のホルマリン液120ミリリットルを十二指腸に注入されたという。男性は内科部長らが使用液の確認を怠ったと主張。神経痛などの後遺症が出たとしている。
病院によると、ホルマリン液は病理検査のために使うもので、精製水の容器に高濃度のホルマリンを混ぜて作っている。超音波を使った内視鏡検査で、本来は精製水を十二指腸に注入するが、今回は誤ってホルマリン液を使ったという。
男性のほか、このホルマリン液でレンズを洗浄した内視鏡が使われた患者が55人いるとみられるが、健康被害は確認されていないという。病院は医療事故として市保健所に届けたが、公表していなかった。告訴状について「内容を確認次第、対応したい」とコメントしている。
13日に会見した男性の息子は「病院側の対応に不信感がある。個人の責任を問わないあいまいな姿勢に強い憤りを持つ」と訴えた。