高倉殿で展示されている賀茂別雷神社文書の豊臣秀吉朱印状=京都市北区
上賀茂、下鴨両神社で17日に先行公開が始まった「京都非公開文化財特別公開」。上賀茂神社に伝わる「賀茂別雷(わけいかづち)神社文書(もんじょ)」は、平安時代から明治時代まで連綿とつづられた1万3639通にものぼる古文書群だ。
秋の京都文化財特別公開
葵祭や競馬(くらべうま)などの祭祀(さいし)・神事、諸国の荘園に関するもの、朝廷などからの文書、源頼朝や徳川家康ら時の権力者との関係を示す文書など貴重な資料が含まれている。当時の経済状況が分かる算用状(収支計算書)や、日々の天気が記され気象の研究資料となる日誌など、記録は様々な分野にわたる。
だが、長い年月を経て虫食いや折れ、糊(のり)の浮きなどが進み、取り扱いが危険なものもある。文書が2006年に国重要文化財に指定されると、神社は緊急性の高い部分から修理に着手。巻子6巻と、色紙帖(ちょう)に文書が張られた「大手鑑(おおてかがみ)」を来年度から4年かけて修理する。織田信長の書状8通や豊臣秀吉の書状20通もある。
総事業費は1840万円を見込み、国や住友財団の補助に加え、朝日新聞文化財団も150万円を助成する。
安井正明・権禰宜(ごんねぎ)は「修理はスタートラインからようやく一歩を踏み出したところ。膨大な量があり何年かかるか分からないが、少しずつでも進めていきたい」と話す。(久保智祥)