倒壊した家屋が道路をふさいでいた=4月15日、熊本県益城町、長島一浩撮影
災害時に緊急車両が通る「緊急道路」沿いの建物に対し、自治体は道路寸断を防ぐため、所有者に耐震診断を義務づけることができる。だが、義務化は11都府県(9月現在)にとどまっていることが、国土交通省のまとめで分かった。熊本県も未実施で、半年前の熊本地震でも倒壊した建物が緊急道路をふさぎ、救助に支障が出た。専門家は早期義務化を求めている。
災害時に交通寸断、渋滞多発 緊急道路沿いで深刻な事態
特集:災害大国 あすへの備え
特集:災害大国 足元の活断層
1995年の阪神大震災で道路沿いの多くの建物が倒壊し、消防車や救急車などの緊急車両の通行が妨げられたことから、政府は同年、耐震改修促進法を制定。2013年の改正で、各自治体は高速道路や国道などを災害時の緊急道路に指定し、沿道の建物に対し、耐震診断を義務づけられるようになった。倒壊で道路をふさぐ恐れのある高さ6メートル以上の建物で、現在の耐震基準を定めた1981年6月よりも前に建てたものが対象となる。結果は期限を区切って所有者に報告を求め、公開もする。
だが、国交省が今年9月時点の…