クボタ本社で、記念写真に応じるくまモン=12日、大阪市浪速区
熊本地震から半年。「この子」は、休む間もなく大忙しだ。
くまモンは「心のよりどころ」 「生みの親」2人に聞く
10月11日、熊本県山鹿市にある築106年の芝居小屋「八千代座」で開かれた歌舞伎の舞台。花道に登場したのは、はかま姿のくまモン。派手に転ぶと、満員の歌舞伎ファンから大きな悲鳴と歓声が上がった。目的は熊本地震の義援金集め。出演する市川海老蔵や中村獅童のサイン入りポスターの売り上げは義援金に。帰り際、くまモンが派手に見得(みえ)を切ると、さらに大きな歓声が起こった。
翌日夕方、今度は大阪市の農業機械大手クボタ本社にいた。社員食堂で出す熊本県産品を使ったメニューのPR活動だ。県担当者の話を遮って登場したくまモンはパンやパスタなどを何度もつまみ食いしようとして、「突っ込み」を浴びた。集まったクボタ社員の一人、室園怜奈は「くまモンはかわいいし、『笑い』もよく知ってる。堅苦しくならず、自然な形で支援できるのがいい」と話す。
2010年に登場したくまモン。11年にゆるキャラグランプリに輝いたその人気はとどまるところを知らない。関連商品の売り上げは11年度の25億円から15年度は1007億円と、4年で40倍になった。県産品では、野菜や畜産の生産高に匹敵する金額だ。その経済効果は、アベノミクスならぬ「くまモミクス」。
熊本地震後もコミカルな動きで笑いと支援の輪を広げている。出演依頼は4月の173件から9月には427件に急増した。「くまモンは複数体ある」という声もあるが、県は「1人しかいない」。「瞬間移動」できるが、同時に2カ所に現れることはできず、毎月の出動回数は260回程度が限界。体がいくつあっても足りない忙しさだ。
商品パッケージやデザインなど…