1986年にインドネシア・ジャカルタの日本大使館に、日本赤軍が爆発物を撃ち込んだとされる「ジャカルタ事件」で、殺人未遂などの罪に問われた元赤軍派、城崎(しろさき)勉被告(68)の裁判員裁判の被告人質問が24日、東京地裁であった。城崎被告は「(日本赤軍に)勧誘されたがずっと断っていた」と述べ、事件当時はジャカルタにいなかったとして無罪を主張した。
日本赤軍は77年に日航機ハイジャック事件(ダッカ事件)を起こした際、強盗傷害事件で服役中だった城崎被告の釈放を要求。城崎被告は日本政府の「超法規的措置」で釈放され、国外へ出た。城崎被告は、米国大使館への襲撃事件で96年にネパールで拘束されるまで、「何かの場合に都合がいい」として、日本赤軍メンバーと定期的に連絡を取り合っていたという。
ジャカルタ事件の当時、城崎被告は「中東のレバノンにいた」と説明。日本大使館に向けて爆発物が発射されたホテルの室内から見つかった指紋が城崎被告の指紋と一致した、と検察側が主張していることについては、「指紋の転写など(捜査機関の)でっち上げができる」と述べた。事件の3カ月前に戦闘で目を負傷し、「戦闘員として使いものにならなかった」とも語った。
被告人質問は25日も行われる。(志村英司)