広島高裁松江支部に入る平井孝典弁護士=10月26日午前10時、松江市母衣町
7月の参院選で「一票の格差」が最大3・08倍だったのは投票価値の平等を定めた憲法に反するとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、広島高裁松江支部(栂村明剛〈つがむらあきよし〉裁判長)は26日、今回の定数配分を違憲の一歩手前となる「違憲状態」と判断し、請求は棄却した。
二つの弁護士グループが全国14の高裁・支部で同様の訴訟を提起。これまでの判決は「違憲状態」が6件、「合憲」が4件となった。
最高裁は、最大格差が5・00倍だった2010年と、4・77倍だった13年の参院選を「違憲状態」と判断。格差の原因となっている都道府県単位の区割りの見直しを求めていた。国会は昨年7月に公職選挙法を改正。島根と鳥取、高知と徳島をそれぞれ一つの選挙区とする「合区」導入などで定数の「10増10減」を実施し、格差は縮小した。
今回の訴訟で升永英俊弁護士(第一東京弁護士会)のグループは「不平等を放置した選挙は無効で、立法を担ういまの国会に正当性はない」と指摘していた。 被告となった鳥取、島根両県の選挙管理委員会は、「合区は投票価値の平等の観点から見て合理的。違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態に至っていたとはいえない」と反論していた。
高裁・支部の判決が出そろうのは11月8日で、その後、最高裁で統一判断が示される見込み。
今回、松江支部判決は合区を導入してもなお「違憲状態」と判断したが、島根、鳥取両県議会と全38市町村議会は10月までに合区解消や見直しを国に求める意見書案や決議案を可決。「地方の声が国政に届きにくくなる」と訴えていた。