東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった大川小学校の惨事を受け、宮城県石巻市では、学校防災に教訓を生かす取り組みが進められている。
大川小学校津波訴訟
市の防災訓練があった今月23日、市立渡波(わたのは)小に大津波警報を知らせる防災無線が流れた。海岸から約600メートル。2階で学ぶ1年生の児童45人が、3階の教室へ移動した。
震災時、渡波小は津波で1階が約1・5メートル冠水した。そこで教室や職員室を2階以上に移し、1階は図書室や特別教室にした。3階の空き教室には水や食料などを備蓄する。
石巻市教委は市立の小中学校など計61校の災害対応マニュアルを点検。防災無線も受信できる持ち運び可能な電話機を配備した。
文部科学省は2012年3月に、地震や津波への対応に重点を置いた「学校防災マニュアル作成の手引き」を初めてまとめた。教育委員会や学校に危機管理のあり方を示している。
大川小の惨事で問題となった子どもの引き渡しについて、手引きでは、あらかじめ保護者とルールを決めておくよう要請。震度4以下なら原則として下校させ、震度5弱以上なら保護者が引き取りに来るまで学校で待機させる――といった判断の目安を示した。
今年3月には、授業や登下校時の事件や事故について学校や自治体の対応をまとめた指針も公表。「何があったのか知りたい」という大川小の遺族らの意見を反映し、発生3日以内に全教職員から事案の聞き取り調査をし、1週間以内に保護者に最初の説明をすることも盛り込んだ。(茂木克信、水沢健一)