成田空港の誘導路が「へ」の字に曲がる原因となった農地をめぐる裁判で、空港反対派の農家に対して農地を成田国際空港会社(NAA)に明け渡すよう命じた一、二審判決が確定した。最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)が25日付の決定で、三里塚芝山連合空港反対同盟(北原派)の農家市東(しとう)孝雄さん(66)の上告を棄却した。
対象の農地は、千葉県成田市天神峰のB滑走路の誘導路脇にある空港用地2カ所で、広さ計約7300平方メートル。市東さんが先祖代々、借りて耕作していた。NAAは前身の公団時代に地主らから土地を買収し、2003年までに所有権の移転を登記した。市東さんは07年、農地の転用を認めた県の処分の取り消しを求めて提訴。NAAも08年、農地の明け渡しを求めて提訴した。
昨年6月の二審・東京高裁判決は、「農地を誘導路などとして整備する具体的な計画があり、農地放棄の補償金約1億8千万円も相当」として県の処分は妥当と判断。農地の明け渡しを市東さんに命じた。
NAAの夏目誠社長は「主張が正当だと認められたものと理解している。への字形状で迂回(うかい)している誘導路などについて、直線化に向けた検討を進めてまいりたいと考えている」とするコメントを出した。