出棺では、「平さんありがとう」と呼びかける参列者もいた=東京都の青山葬儀所
ギリシャ悲劇やシェークスピア劇などでスケールの大きな演技を披露し続け、22日に82歳で亡くなった俳優の平幹二朗さんの葬儀が28日、東京都港区の青山葬儀所で営まれた。俳優や舞台関係者、ファンら約600人が訪れた。
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葬儀には俳優の中村玉緒さんや佐々木蔵之介さん、市川猿之助さんらも姿を見せた。平さんと同じ俳優座出身の俳優、栗原小巻さんが「俳優は役の中に真実があるということを演じる姿で教えて下さいました。平さんの芸術への強い意志と純粋な精神は息子の平岳大(たけひろ)さんに引き継がれます」、文学座の演出家、鵜山仁さんは「平さんの演技、声、志は舞台と客席の境界線だけではなく、生と死の間の壁を突き抜けたところまで響いている気がします。その響きはかけがえのない記憶としてぼくたちの心に残り、芝居作りは影響を受け続けると思います」と弔辞を述べた。
長男で喪主の俳優平岳大さんが「父はどんな逆境に立たされても、不死鳥のようによみがえってくる人でした。30年前の肺がんの時も、大病を患った時も、復活を遂げてきました。原動力になっていたのは芝居だと思います」とあいさつした。
長男で喪主の俳優平岳大さんによると、最後の晩、平さんは孫を抱き、ミルクをあげて、大好きなワインをたくさん飲んだという。「家に送り届けた私に『岳、もう帰りなさい、ふふっ』と笑った父。幸せだったと思います」と振り返った。
柩(ひつぎ)には岳大さんの手紙が入れられ、多くの参列者に見守られる中、出棺した。「平さん、ありがとう」という掛け声もかけられた。(山根由起子、江戸川夏樹)