避難所が閉鎖になり、引っ越しをする女性=31日午前8時29分、熊本県益城町の総合体育館、小宮路勝撮影
熊本地震で震度7の揺れが2度襲った熊本県益城(ましき)町の避難所が31日午前、閉鎖された。午後には同県御船(みふね)町、大津(おおづ)町の避難所も閉じる。県内に残る数人の避難者も新たな住まいのめどがたっており、熊本地震の避難者は11月上旬にも「ゼロ」になる見通しとなった。
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一時は敷地内の車中泊なども含めて約1600人が避難していた益城町総合体育館。31日早朝から、残る避難者らが荷物をまとめ、次の住まいへの「引っ越し」を始めた。
忙しく車に荷物を運んでいた福田文子さん(65)は4月からずっと体育館にいた。全壊した家で家具の下敷きになり2カ月間入院した87歳の母も、退院後は一緒に過ごした。当面の住まいが見つかったといい「安心した。一日も早く母の自宅に戻って、前を向いていきたい」と話した。
熊本県では、多数の家屋被害や相次ぐ余震への不安などから、本震翌日の4月17日には18万人以上が避難所に身を寄せた。その後、自宅に戻ったほか、4千戸を超える応急仮設住宅や、民間アパートなどを活用した1万戸以上の「みなし仮設」への入居が進んで避難者は徐々に減った。
18人が残っていた益城町、26人の御船町、1人がいる大津町の避難所閉鎖で、残る避難者は美里町、西原村の計4人となる。いずれも新たな住まいのめどは立っているといい、11月上旬にも避難者数は「ゼロ」になる見通しだ。
一方、益城町では、アパートや仮設住宅への入居期日が避難所閉鎖後になった被災者が7人おり、町は当面の滞在場所となる「待機所」を設けた。災害対策基本法に基づく避難所ではなく、支援物資の定期的な支給はなくなる。待機所に移った人たちも、11月中にも新たな住まいに移る見通しだ。(平井良和、大森浩志郎)