4月26日、ボラカイ島の閑散としたビーチを歩く観光客や住民ら=AP
フィリピン中部のビーチリゾート、ボラカイ島が26日から閉鎖され、最長半年間、観光客の新たな立ち入りができなくなった。ビーチの汚染を防ぐため、ドゥテルテ大統領が「災害宣言」を発令し、閉鎖を決めた。よりどころの観光収入を失う地元では、突然の閉鎖に不安の声が出ている。
美しい海岸で知られるボラカイ島は日本人にも人気だ。2017年の訪問客は約200万人で、この5年で1・6倍に増えた。ただ、開発でマングローブが減り、一部のビーチで藻が大量発生するなど環境汚染が深刻になっていた。
2月に訪問したドゥテルテ氏は、海の状態を「汚水だめのよう」と発言。ホテルなどの下水・排水が海に流れ込んでいることがわかった。閉鎖中、排水処理施設を整備するなどして状況を改善する。
閉鎖解除まで観光客の新たな宿泊予約はできなくなる。地元では約3万6千人が職を失うといい、地元政府は経済損失が最大約200億ペソ(約418億円)に上るとみている。一部閉鎖にとどめるよう求める声も出ていた。政府は5千人分の職を確保し、災害対応の基金も活用するとしているが、支援策は十分説明されておらず、地元では困惑が広がっている。(マニラ=鈴木暁子)