埼玉県の一部事務組合「坂戸、鶴ケ島水道企業団」(同県坂戸市)発注の工事を巡って水道設備会社から賄賂を受け取ったとして、警視庁は9日、同企業団浄水課主査の鴨志田穂積容疑者(60)=同県鶴ケ島市=を収賄容疑で逮捕し、発表した。「現金は受け取ったが、資料を提供しただけ。有利にしようとしてやったわけではない」と容疑を否認しているという。
捜査2課によると、鴨志田容疑者は、昨年6月に指名競争入札のあった同企業団発注の鶴ケ島浄水場(鶴ケ島市)設備点検工事に絡み、水道設備会社「協和水環境システムズ」(東京都足立区)に事前に工事設計書を渡すなど便宜を図った見返りとして、同年9月ごろ、同社から現金20万円を受け取った疑いがある。
同企業団は、坂戸、鶴ケ島両市が共同で水道事業を行う一部事務組合で、職員は地方公務員にあたる。
警視庁は同社の元社長、秋山信芳容疑者(48)=千葉県松戸市=についても9日、贈賄容疑で逮捕した。「お世話になったので助けようと思い、20万円あげた」と供述し、現金の趣旨を否認しているという。
工事は、浄水施設の消毒剤注入設備を点検整備するもの。予定価格は約1441万円で、同社は1328万円で落札。落札率は92・2%だった。登記簿によると、同社は2009年5月に設立。秋山容疑者は今年6月に社長を辞任した。14年6月~今年7月、同企業団から少なくとも計3件の工事を受注している。