政府・与党は、地方に本社機能を移した企業への減税を2018年度まで維持する方針を固めた。安倍政権が地方創生の一環で15年度に導入した「地方拠点強化税制」で、17年度から減税額が縮小される予定だった。年末にまとめる与党の税制改正大綱に盛り込まれる見通しだ。
東京23区の企業が、管理部門や研究開発拠点を大都市圏をのぞく地方に移転すると、2千万円(中小企業は1千万円)以上の社屋などを対象に取得額の7%分を法人税から減税する。地方の企業が社屋を拡大する場合にも、投資額の4%分を減税する。
これらは来年4月以降、減税規模をそれぞれ4%と2%に縮める予定だった。だが、大都市部への人口集中がなお続き、はっきりとした効果を得るまでには時間がかかると判断した。政府は、震災など危機管理の観点から本社機能の地方分散を検討している企業があるとみている。
一方で内閣府は、本社機能の移転で雇用を増やした場合、法人税を1人あたり3年で最大140万円減らす措置の拡充も求めており、政府・与党内で今後検討する。(奈良部健)