自民党市議団の会派控室には「しずおか 聖一国師物語」の各国語版が積まれていた。手前左から日本語版、英語版、フランス語版、中国語版=静岡市葵区追手町
静岡市議会の自民党市議団(20人)が政務活動費で地元の偉人のPR漫画を約3万冊作り、後援者らに無償で配っていたことがわかった。費用は1200万円を超える。政活費は議員が自治体の仕事を調査研究するための費用で、識者からは趣旨を逸脱しているとの指摘が出ている。有権者への寄付を禁じた公職選挙法に抵触する可能性も指摘されている。
漫画のタイトルは「しずおか 聖一(しょういち)国師物語」で、A5判、48ページ。鎌倉時代に市内で生まれ、中国から茶を伝えたとされる僧侶(円爾〈えんに〉)の生涯を振り返る構成だ。
政活費の収支報告書によると、市議団は2013年2月、聖一国師を研究している同市清水区の男性(72)に70万円を支払って監修などを依頼。男性が印刷会社などに発注する形で今年3月までに計2万2千部を作った。ほかに英語版、フランス語版計6千部も作り、累計で約1255万円を政活費から出した。今秋には中国語版も作った。
市議団の鈴木和彦会長は「静岡茶を伝えた人物のことを、多くの市民に伝えたかった」と説明。別の市議によると、漫画は市政報告会で後援者らに無償で配ったという。市教育委員会も80を超す小学校に数部ずつ配った。
市議団は、11年度には政活費…