東京都八王子市の傷害事件で中国籍の男性2人が誤って逮捕、起訴された問題で、警視庁が25日、八王子署で2人に謝罪した。2人に同行した牛田喬允(たかまさ)弁護士によると、山口紀浩・八王子署長が「犯人でない2人を逮捕し、心から申し訳なく思う。重く受け止めている」と述べたという。
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面会は佐藤雅一・同副署長と福島裕二・組織犯罪対策部管理官も同席し、1時間20分に及んだ。福島管理官は「初動捜査、客観証拠の収集、犯人特定の検討が不十分だった」と総括。2人とは別人の犯人とみられる3人組が映ったドライブレコーダーの映像については「事件直後に存在を認識していたが、(事件の夜の)当直から捜査担当部署への引き継ぎでミスがあった」と述べた。再発防止策として、福島管理官は「客観証拠の収集を徹底するよう指導している」と語ったという。
謝罪を受け、不動産会社経営の男性(47)は「真摯(しんし)に対応してもらったが心境としてはいまだに複雑」、貿易会社経営の男性(39)は「今後は事件を軽率に扱わず、しっかりと捜査してほしい」。牛田弁護士は「謝罪が2人にとって一つの区切りになってほしいと思っている」と話した。
2人は2014年1月に路上で40代の男性2人にけがを負わせたとして、今年3月に傷害容疑で逮捕され、東京地検立川支部が4月に同罪で起訴。それぞれ113日間と98日間拘束されたが、地検が7月、犯人ではないとして起訴を取り消した。東京地検も近く、2人に謝罪する方針。