徳島市観光協会が入る「阿波おどり会館」。協会の指定管理者の契約は今月末で切れ、新年度から地元の新聞社などがつくる事業体が管理する=同市、中村律撮影
徳島市の夏の阿波踊りをめぐり、主催する市観光協会の累積赤字が膨らんだとして、市は2日、協会の破産手続きの開始を徳島地裁に申し立てたことを明らかにした。市は協会を清算して新たな運営組織をつくる方針で、今年の阿波踊りについても「市が責任を持って進めていく」と説明している。
観光協会は、毎年8月の阿波踊りを地元の新聞社と共に主催する公益社団法人。市によると、協会の金融機関からの借金は2016年度末時点で約4億3600万円にのぼる。ほとんどが過去30年あまりの阿波踊り事業の赤字で、雨天中止時のチケットの払い戻しや桟敷席の改修の費用などによるものという。
市は協会に補助金を出しているほか、協会の借金を肩代わりする損失補償の契約をしているため、昨年9月、赤字解消に向けた協議を持ちかけた。しかし、協会が赤字について「独自で調査する」として拒否したため、同11月、地方自治法に基づいて協会を立ち入り調査。今年2月に「事業の継続は困難」として、借金を返済する代わりに補助金と損失補償を今年度でやめる方針を決定していた。
市は債権者として協会の破産手続きを申し立てるため、今月1日に金融機関から債権を譲り受けた。借金には1日約14万円の遅延損害金が発生しているといい、破産手続きを申し立てた理由について、「市民の負担をこれ以上増やさないため」としている。
協会の担当者は「破産についての相談もない中での申し立ては誠に遺憾だ」などとコメントを出した。(佐藤常敬)