刑事事件の被告の精神疾患が起訴後に悪化した場合、裁判所が公判を打ち切れるかどうかが争点となった裁判で、最高裁第一小法廷(池上政幸裁判長)は28日、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。被告の弁護側は「回復の見込みのない被告をこれ以上、刑事裁判で拘束することは許されない」と主張。検察側は「裁判所が公判を打ち切る法律の規定はない。遺族の処罰感情も強く、公判を続けるべきだ」と訴えた。 争われているのは、愛知県豊田市で1995年に散歩中の祖父(当時66)と孫(同1)を刺殺したとして殺人罪などに問われた被告の男(73)の公判。精神疾患の悪化で長く公判が停止されていたが、名古屋地裁岡崎支部は2014年、17年ぶりに公判を再開し、「被告に公判を受ける能力がなく回復の見込みもない」として、裁判を打ち切る「公訴棄却」の判決を言い渡した。だが昨年の二審・名古屋高裁は、「極限的な場合以外、裁判所は公判を打ち切れない」として、一審判決を破棄した。 刑事訴訟法には、裁判所による公判打ち切りの規定がなく、最高裁はこの点について何らかの判断を示すとみられる。 |
起訴後に精神疾患悪化 公判打ち切り巡り最高裁弁論
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