インタビューに答えるオリックスの井上亮社長=東京都港区
■オリックス 井上亮社長に聞く
4年間のアベノミクスによって、円安が進行し、企業の賃上げも3年連続で実施された。ただ、労働者にわたったお金は消費につながっていないようだ。その背景には、年金も含めた将来に対する不安がある。富裕層はともかく、中間層以下の人はお金を使いにくくなっている。
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経済好循環に疑問符「改善効果が失速」
設備投資は堅調、賃上げには慎重
経済を好循環させるためには、政権がもっと規制緩和に取り組むべきだ。法人税や相続税を引き下げれば、どんどんお金が使われるようになる。人口減に対応するため、移民の受け入れにも踏み切るべきだ。米国の例をみても、移民がしっかりと社会に根付くには50年以上かかる。50年後の日本の人口は8千万人ほどに落ちる。いま始めないと、間に合わない。
アベノミクスの「第1の矢」である金融緩和策として、日本銀行は上場投資信託(ETF)と上場不動産投資信託(J―REIT)の大規模な買い入れをしている。この点について、外国の投資家から「市場をゆがめている」という強い懸念をよく耳にする。
企業のガバナンス(組織統治)を後退させる恐れがあるほか、日銀が市場に売れば価格が急落する可能性があるため、売るに売れなくなってしまうためだ。株式市場はボラティリティー(変動しやすい状態)があって初めて成り立つ世界だ。金融政策でデフレからインフレに変えるのは極めて難しい。日銀はマイナス金利幅の拡大といった追加緩和をせず、金融市場にゆだねるべきだろう。(聞き手・土居新平、伊藤弘毅)