米財務省は2日、北朝鮮が9月に実施した5回目の核実験を受け、北朝鮮の国営航空会社の高麗航空など23の団体と個人に対して独自制裁を科すことを発表した。核やミサイル開発の資金源となっている労働者派遣や石炭輸出に関わる企業を初めて対象とした。
米国内の資産が凍結されるほか、米国人との取引が禁じられる。第三国の企業にも対象企業との取引自粛を促したい考えだ。米財務省で経済制裁を担当するアダム・ズービン財務次官代行は「これらの制裁は、北朝鮮への資金源を断ち切るものだ」と強調した。
今回の制裁は、高麗航空が所有する16機の飛行機なども対象となった。財務省によると、同航空はスカッド短距離弾道ミサイルの部品を運搬している疑惑があるという。国際線が中国やロシアなどに就航しているが、制裁によって第三国の企業に同航空機への燃料や機内食を提供することを自粛させ、運航の停止を促したい考えだ。
また、海外に北朝鮮の労働者や技術者を派遣していた貿易会社や建設会社など4社も新たに対象に指定された。個人では、北朝鮮で軍需経済を担当する非公開組織の「第2経済委員会」委員長らが対象となった。(ワシントン=峯村健司)