12球団合同トライアウトで投球する新垣=11月12日、甲子園球場、稲崎航一撮影
■スコアの余白
「松坂世代」を代表する右腕が現役を引退した。ソフトバンクとヤクルトで14年間プレーした新垣渚(なぎさ、36)。地元沖縄から見守ってきた父・隆(たかし)さん(63)は笑顔で労をねぎらった。
スコアの余白2016
新垣は、沖縄水産高3年時に春夏連続甲子園出場。同学年の松坂大輔(現ソフトバンク)とともに豪速球投手で注目された。九州共立大を経て当時のダイエーに入団。ソフトバンク時代を含め60勝したが、2014年の途中に移籍したヤクルトでは4勝に終わった。
10月にヤクルトから戦力外通告となり、隆さんは電話で報告を受けたという。「まだ体もやる気もあるから、トライアウトも受けるよ」。現役にこだわる息子に、「気(持ち)が無くなればダメだから。頑張りなさい」と背中を押した。
11月12日。甲子園球場であった12球団合同トライアウトは、事実上の「引退登板」となった。日本の独立リーグからオファーはあったが、希望した日本野球機構(NPB)の球団から声はかからなかった。「呼ばれていないから、卒業するよ」。同28日夜、息子の決断を聞いた。第二の人生も「野球関係に携われれば」と希望しているという。
少年野球時代、隆さんが撮った試合のビデオを擦り切れるまで見て投げ方を研究していた息子の生のユニホーム姿は、今春の浦添キャンプが見納めとなった。
「やるだけやったんじゃないか。ご苦労さん。ありがとう」(甲斐弘史)