ダウンジャケットのフードに付いているゴムひもの先端の留め具が左目に当たり、白内障になったとして、東京都の男性が製造元のメーカーに約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、東京地裁であった。沢野芳夫裁判長は、「留め具が直撃したのは、製品の構造上の欠陥が原因だ」として、メーカーに約4千万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
訴えられたのは、ファーストリテイリングの子会社で「セオリー」などのブランドを展開する「リンク・セオリー・ジャパン」(山口市)。判決によると、男性は2010年末ごろにダウンジャケットを購入。12年1月、男性が携帯電話を右ポケットから取り出す際にゴムひもが携帯電話か右腕に引っかかり、外れたはずみで留め具が左目に当たった。男性は外傷性白内障になり、視力が低下した。
判決は、「ゴムひもが長く、着用者が意図せず顔や目を負傷するおそれがある」と構造上の欠陥を認定。男性が製品を購入する約2年前に、ジャケットのゴムひもの留め具が目を直撃する危険性を警告する論文が出ていたことなどから「メーカーは安全性を欠いていると認識できた」と賠償責任を認めた。その上で、男性が一方のゴムひもを伸ばした状態で着ていた不注意があったとして、約6千万円とした損害額から4割減額。弁護士費用を加算して約4千万円の支払いを命じた。
判決を受け、ファーストリテイリングは「判決内容を精査し、適切に対応致します」とコメントした。