倉本洋容疑者
中堅ゼネコン2社と大学に無断で進めた共同研究をめぐり、背任容疑で大阪府警に再逮捕された大阪大大学院工学研究科教授の倉本洋(ひろし)容疑者(57)=収賄罪で起訴=が阪大に支出させた約1千万円の研究費の多くは、大学管理の奨学寄付金だったことが捜査関係者への取材でわかった。2社からは別に研究費約1400万円を受け取っており、経費を二重取りしたものとみて府警が調べている。
研究費1千万円流用、背任容疑 阪大院教授を再逮捕へ
捜査2課によると、倉本容疑者は2013~16年度、規定に反して大学に無届けのまま、贈賄側の「東亜建設工業」(東京都新宿区)、「飛島(とびしま)建設」(同千代田区)と鉄筋コンクリートの柱などの耐震性能を調べる共同研究を実施。両社から研究費名目で約1400万円を受け取りながら、大学に約1千万円の研究費を支出させて損害を与えた疑いがある。
研究費約1千万円の大半は、倉本容疑者宛てに複数のゼネコンなどから支払われ、大学が管理していた奨学寄付金だった。使途が限定されず、教授が申請すれば支出されやすいため、本来なら企業側が研究費を負担すべき共同研究に使われた可能性がある。
一方、両社からの1400万円は倉本容疑者の妻が代表である「CES構造研究所」(愛知県豊橋市)の法人口座に入金された。実際は研究に使われず、倉本容疑者の遊興費や生活費に充てられたという。倉本容疑者は11年4月から同研究所の取締役を無報酬で務めていると大学に届け出ていた。府警は7日午後、倉本容疑者を背任容疑で送検した。