保護者に無料で配るジュースや野菜を並べる学校職員やボランティアら=米国・サンフランシスコ
■子どもと貧困 米国の学校で
深刻化する子どもの貧困。その対策は公的支援だけでは追いつかない現実がある。より厳しい現実を抱える米国では、学校を拠点に民間団体の支援が進む。取り組みの現場を訪ねた。
特集:子どもと貧困
9月、カリフォルニア州サンフランシスコのイックウォ小学校(児童数270人)。朝、子どもを送ってきた保護者らが列を作っていた。無料で配られる野菜や果物をもらうためだ。
スクールパントリー(学校での食料配給所)と呼ばれる。規格や賞味期限などを理由に、食べられるのに廃棄される食料を農家や企業から集め、困窮者に配る地元のフードバンク団体が週1回、学校に「出張」する。この日は牛乳や卵、ジャガイモなど14種類の食材が用意され、79世帯の保護者らが利用した。
シングルマザーの女性(42)はタマネギを袋に詰めた。パートの指圧師。月収1千ドルと政府の食費補助(月300ドル)で暮らす。「物価も高く、子育てにお金がかかる。ここは助かる」
団体は10年前から活動を始め、今では近隣を含め63校で実施する。団体によれば、サンフランシスコで給食費が免除される低所得層の子どもは62%。担当のビダル・ゴンザレスさん(37)は「どんな方法なら気軽に食料を受け取れるのかを、地域の人と話し合いながらやっていくことが大事」と話す。