国連でミャンマーの問題を担当するナンビアール事務総長特別顧問は8日、同国西部ラカイン州でイスラム教徒のロヒンギャ住民への人権侵害報告が相次いでいることをめぐって声明を出し、アウンサンスーチー国家顧問が現地を訪問し、住民に安全を確約するよう求めた。
同州北部では10月に武装集団と治安部隊の間で戦闘が起きて以降、治安部隊による住居の焼き打ちやレイプなどの疑惑が寄せられている。AFP通信によると、国際機関は約2万1千人が国境を越えてバングラデシュに逃れたと推計。国際社会ではミャンマー批判が高まっている。
ナンビアール氏が行動を訴えた背景には、ノーベル平和賞受賞者のスーチー氏が、この問題で存在感を示していないことへの不満があるとみられる。声明は「これまでも彼女が様々な機会に行ってきたように、彼女自身の心の声に耳を傾け、民族や宗教といった違いを超えて、人間の尊厳と人々の調和を前に進めようと国民に直接語りかけてほしい」とも訴えた。(ヤンゴン=五十嵐誠)