ヤクルトの山田哲人
(5日、プロ野球 ヤクルト12―6ソフトバンク)
勝ちを連ねるヤクルトにあって、試合前までの交流戦の打撃成績は23打数で2安打のみ。3連戦で、相手が次々と変わる短期決戦に苦しんでいた山田哲だ。
3日の楽天戦で交流戦初安打を放ち、「楽になったとかでなく、やることは同じ」。このリードオフマンが大勝の流れを作った。
一回は摂津の浮いたカーブをたたいて左前安打。続く青木の当たりが左中間を割ったのを見て、俊足を飛ばして本塁へ。わずか9球で先取点をもぎ取った。
1―2とされた二回は、追い込まれてから簡単に崩されない粘りを発揮した。低めに沈むシンカーをバットに乗せるようにとらえ、左翼へ逆転3ラン。「三振しないよう何とか食らいついていこう、と。結果につながったのが良かった」。交流戦初打点に、あんどの思いがにじんだ。
摂津を三回で降板に追い込み、あとはチームがつながった。1イニング7得点に加え、山田哲と青木、バレンティンの3人が本塁打をそろえたのも今季初だ。
昨季は開幕から1分けを挟んで10連敗した交流戦。今季は初戦黒星のあと、一転、連勝が6に伸びた。ソフトバンクに並び、今交流戦の首位だ。セ・リーグは他の球団が今年も交流戦に苦しむため、2位以下はそろって「貯金」がなく、1・5ゲーム差内にひしめく大混戦になった。1カ月ぶりに最下位を抜け出たヤクルトが「台風の目」になりつつある。(笠井正基)
●工藤監督(ソ) 先発の摂津が崩れるなど今季ワーストに並ぶ12失点。「なんとかしようという思いが伝わってこない」
●上林(ソ) 4試合連続本塁打となる3ラン。「状態が良いのかわからないが、なんとか1本打ちたかった」
●今宮(ソ) 二回に球団通算8500本目となる2ラン。「俺が打っちゃ悪い。ホームランはたまたまです」
●摂津(ソ) 2週間ぶりの先発で3回5失点。「申し訳ないです。俺のせいです」