東京大教養学部の助教授だった当時の大隅良典さん(左から3人目)と塚田美樹さん(同2人目)ら研究室のメンバー=大阪大の野田健司教授提供
ノーベル医学生理学賞を受けた東京工業大栄誉教授の大隅良典さん(71)の業績は、多くの人たちに支えられて成し遂げられた。10日夕(日本時間11日未明)の授賞式に臨んだ大隅さんに、仲間たちは祝福をおくっている。
特集:ノーベル賞
特集:大隅良典・東京工業大栄誉教授
ストックホルムで7日にあった記念講演。大隅さんは細胞オートファジー(自食作用)の仕組みを解明するまでの歩みを語る中で、さまざまな局面で研究に貢献した人の氏名をその都度読み上げた。
その中にドイツ在住の塚田美樹さん(48)も含まれていた。塚田さんについて大隅さんは、2012年の京都賞の受賞記念講演でも「私の最初の大学院生。すばらしい仕事の成果」とたたえている。
塚田さんは埼玉大で生物学を学び、1991年4月に東京大の修士課程に進んで、助教授だった大隅さんの研究室に。オートファジーを起こさない酵母を探す作業を任され、顕微鏡をひたすらのぞく日々を送った。先輩の助言を受けながら1年余りで数千個の酵母を調べ、15個を見つけた。その論文は、ノーベル賞の受賞対象の主要論文4本に入った。後に、正常な酵母との違いを調べることで、オートファジーを起こす遺伝子の特定につながった。
「大隅先生は、あなただからできたと言ってくれ、本当にありがたい」
93年秋にドイツへ渡って研究…