事故のイメージ図
沖縄県名護市沿岸で13日夜、米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属の垂直離着陸機オスプレイが不時着を試みて浅瀬に着水し、大破したのは、空中給油の訓練中のトラブルでプロペラを損傷したためだ、と米海兵隊が14日発表した。米軍はオスプレイの飛行停止を表明する一方、オスプレイ自体が原因ではないと強調した。
米軍高官「被害与えず、感謝されるべき」 沖縄副知事に
【動画】機体大破 不時着水、名護の海岸数十メートル
在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官が、記者会見して明らかにした。
ニコルソン氏によると、事故機は沖縄本島の東方約30キロ付近を飛行しながら空中給油機から給油を受ける際、給油ホースが切れてオスプレイのプロペラが損傷した。機体は不安定な状態になり、普天間への帰還を試みたが、パイロットの判断で、目的地を、市街地に囲まれた普天間ではなく、東海岸沿いのキャンプ・シュワブ(名護市)に変更した。しかし、たどりつけず、午後9時半ごろ不時着水を試みたという。
ニコルソン氏は県民に「謝罪します」と述べつつ「パイロットが沖縄の上空を飛ばず、沖縄の人々の多くの命を守り、乗組員を守った。最悪の事態で最善の決断をくだせたのは誇りに思う」と話した。オスプレイを当面飛行停止とする一方、事故はオスプレイの構造や設計が原因ではなく、プロペラがホースを切り、そのときに損傷した可能性が高いとの見方を示した。
これに対し、オスプレイの配備に反対し続けている沖縄県は猛反発。翁長雄志(おながたけし)知事は「県民の不安が現実のものとなり、大きな衝撃を受けている」と述べ、政府に抗議文を提出したほか、急きょ上京して、15日に政府に対し、普天間飛行場に配備されているオスプレイの撤去を求める。
第11管区海上保安本部(那覇市)などによると、事故現場は名護市安部(あぶ)の海岸から数十メートルの浅瀬で、最も近い民家から300メートルほど。機体は翼や機首などがばらばらになった。乗員5人は米軍の別のヘリに救助されたが、2人がけが。
現場は海域のため、11管は14日未明、米軍に事故の捜査を申し入れたが、14日夕までに回答はないという。ただ、航空危険行為処罰法違反の疑いで独自に捜査を始め、米軍の協力が得られれば、パイロットらから任意で事情を聴く方針。日米地位協定は、米軍関係の事件・事故には基地の外でも米軍による警察権を認めている。
不時着現場について、沖縄県警や11管には当初、在沖米軍から「うるま市沖」との連絡が入り、パトカーや巡視船艇が向かった。実際の着水現場は20キロ以上、北側だった。