赤外線撮影された人物像のアップ。顔と頭がみえる=奈良文化財研究所撮影、鳥取県埋蔵文化財センター提供
古代の道路遺構などが確認された鳥取市の青谷(あおや)横木(よこぎ)遺跡で、複数の女性像が墨で描かれた板絵(7世紀末~8世紀初め)がみつかった。鳥取県埋蔵文化財センターが15日発表した。飛鳥~奈良時代の女子群像の発見は、「飛鳥美人」で知られる奈良県明日香村の高松塚古墳(特別史跡、7世紀末~8世紀初め)の極彩色壁画(国宝)に次いで2例目。中国大陸や朝鮮半島など東アジア世界の文化交流の実像を浮き彫りにする貴重な資料と注目される。
絵はばらばらの板片5点に墨で描かれ、百橋(どのはし)明穂(あきお)・神戸大名誉教授(美術史)が調べた結果、6人の女性とみられる人物が描かれていることが判明した。
全身が残った図像はなかったが、目・鼻・口などがみえない顔と上半身の人物(長さ約7・5センチ)、「払子(ほっす)」とみられる仏具を持った人物の上半身(長さ約5センチ)、スカート(裳(も))をはいた下半身(長さ約8センチ)などの図像が確認された。
7世紀末~8世紀初めに築かれた古代の官道「山陰道」とみられる道路遺構に、10世紀後半に土地を区画した「条里」の遺構が交わる地点で出土。同センターによれば、周りで出土した土器の年代などから山陰道の築かれた時期のものと推測。板は長さ70・5センチ、幅15・5センチ、厚さ6ミリに復元できるとされ、板の上部に小さな穴が一つ開いていた。板の用途は不明としているが、裏面に炭化痕があり、焼損後に分割、廃棄された可能性もあるという。
青谷横木遺跡は、鳥取県東部の…