共同記者会見に臨む安倍晋三首相(右)とロシアのプーチン大統領=16日午後4時21分、首相公邸、越田省吾撮影
「新しいアプローチ」を旗印に、北方領土問題に突破口を開こうとした安倍晋三首相の取り組みは、大きな成果を生むことなく肩すかしに終わった。共同会見で安倍首相は「解決にはまだまだ困難な道が続く」と認めた。
特集:北方領土問題
安倍首相は、大統領として11年ぶりに訪日するプーチン氏を、地元山口県長門市に招いた。平和条約締結に向けた基本合意を交わす歴史的な場所にしようと思い定めてのことだった。
しかし会談では、条約締結の前提となる北方領土問題については最低限の共通認識すら得られなかった。安倍首相は北方四島が日本領だという日本の立場を「正しいと確信している」と強調。かたやプーチン氏は、1956年の日ソ共同宣言に従っていずれ歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の2島を引き渡すにしても、主権まで渡すかは分からないという「0島返還」の立場から一歩も動かなかった。
浮き彫りになったのは、プーチ…