ドローンなどの小型無人飛行機の飛行ルールを定める改正航空法が施行された昨年12月以降、飛行許可を求める国への申請が1万件をこえた。国土交通省は利用拡大に対応するため、民間教育機関の操縦ライセンスを活用し、審査の一部を簡略化する方針を決めた。航空法に基づく審査ルールを年度内に変更する。
航空法は現在、高度150メートル以上の空域や空港周辺、人口密集地などの飛行を原則禁止している。飛ばすには操縦者の飛行経歴や機種などを国交省へ申請し、許可を得なければならない。
改正法施行から今年12月9日まで1年間の申請は、事前相談も含め1万2300件、許可されたのは1万120件に及んだ。目的別では空撮、測量、インフラ点検、報道取材、農薬散布などが多い。審査には平均2週間、内容によって3週間ほどかかり、申請手続きの煩雑さなどが課題となっていた。
そこで国交省は、民間の操縦ライセンスを得た人については、操縦経験などの審査を省くことにした。ドローンの利用拡大にともない、民間の教育機関の講習や訓練の質も上がり、安全が担保できると判断した。国交省は今後、質の高い教育機関やライセンスを認定し、ホームページで公開する。
国交省によると、現状でドローン操縦の国家資格を設ける予定はなく、民間ライセンスを活用して安全を担保していく方針だ。(伊藤嘉孝)