早朝の米軍普天間飛行場では駐機中のオスプレイの周辺で米軍関係者が整列していた=19日午前7時13分、沖縄県宜野湾市、小宮路勝撮影
沖縄県名護市沿岸で米軍輸送機オスプレイが着水を試み大破した事故で、防衛省は19日、米軍が事故以来運航をやめていたオスプレイの飛行を、午後2時以降に全面再開する、と発表した。日本政府も飛行再開を容認した。翁長雄志(おながたけし)知事が「言語道断でとんでもない話だ」と発言するなど、沖縄側は猛反発している。
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米軍が事故原因としている空中給油は当面しない方針。稲田朋美防衛相は飛行再開について「事故の状況や原因などについて専門的知見に照らせば、合理性が認められる。空中給油以外の飛行再開は理解できるものと考える」とのコメントを発表した。
沖縄県には19日朝、沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長が米側から受けた説明と、オスプレイの飛行再開を国も容認することを伝えた。応対した謝花喜一郎知事公室長は「説明は、到底納得とは言えない」と反発し、飛行停止の継続を改めて求めた。
翁長知事は登庁時、再飛行を容認した日本政府に対して「もうこういう政府は相手にできませんね。法治国家ではない」と語った。
住民にも反発が広がる。オスプレイ24機が配備されている普天間飛行場(宜野湾市)の騒音被害を訴える「普天間爆音訴訟」の原告団長、島田善次さん(76)は「県民は墜落して大破した機体を見せられたまま、まともな事故の説明もない。一方的に再開を決められる植民地扱いに怒り心頭だ」と憤った。
本島北部・東村(ひがしそん)の高江地区は、オスプレイも使用する着陸帯が完成したばかり。反対運動を続ける住民の安次嶺現達(あしみねげんたつ)さん(58)は「政府が飛行再開を受け入れても、オスプレイが頭の上を飛ぶ住民としては不安で納得いかない」と話した。
米軍によると、事故を起こしたオスプレイは13日夜、沖縄本島の東方沖で空中給油訓練中にトラブルでプロペラを損傷し、名護市安部(あぶ)の浅瀬に着水して大破した。米軍は、オスプレイの設計や構造が事故原因ではないと説明している。日本政府は事故後、安全が確認されるまでオスプレイの国内での飛行停止を米軍に要請し、米軍も「すべてのチェックリストを点検し、問題がないと確信するまで沖縄では飛行しない」と応じていた。
■在日米軍司令部が19日午前に出した飛行再開についての発表文(要旨)
沖縄のオスプレイは本日、飛行運用を再開する。再開の決定は、米国と日本の幹部の間での協議の結果だ。
在日米軍は金曜日(16日)に日本政府へ飛行運用再開の通知を始め、今朝(19日)、最終的な通知をした。第3海兵遠征軍司令官のローレンス・ニコルソン中将は沖縄県と(防衛省)沖縄防衛局に通知をした。
ニコルソン中将は「安全手順や機体を徹底的かつ慎重に見直した後、私は、同盟国の支援と責務において、安全なオスプレイの飛行運用を継続できると高い自信を持っている」と述べた。