カクレクマノミが密集した「クマノミ玉」=竹谷俊之撮影
■360度動画「いきもの目線」
どっちを向いても「ニモ」だらけ!
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映画「ファインディング・ニモ」で人気になったカクレクマノミ。約5センチほどの体には、オレンジ色に3本の白い帯。黒い目玉はくっきりしていて、いかにも映画のキャラクターのような表情に見える。そんな「ニモ」たちが、うじゃうじゃ泳ぐ水槽に360度撮影用カメラを沈めた。
千葉県鴨川市の鴨川シーワールド。円柱型の水槽の中で約800匹のカクレクマノミが泳いでいる。水槽の底にカメラを沈めると、それまでばらばらに泳いでいたクマノミたちが、「クマノミ玉」と呼ばれる集団になった。警戒しているようだ。10分経っても20分経っても、「クマノミ玉」は一定の距離を保ったまま、レンズには近づいてくれない。どうしたものか……。
撮影を手伝ってくれていた飼育員の村口直弥さん(25)が、水槽にエサをまいた。それまでの警戒心はどこへやら。たちまちエサの取り合いが始まり、にぎやかな映像になった。
村口さんによると、クマノミは自然界ではイソギンチャクと共生し、ペアで生活しているという。これだけの数を一つの水槽で飼育している水族館は全国的にも珍しいそうだ。
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カクレクマノミは性転換する魚としても知られる。群れの中で大きな個体が雌で二番目が雄、他は未成熟個体になる。雌がいなくなると、雄が雌に性転換し、未成熟個体から雄が出現するという。(竹谷俊之)