主な「国土強靱化」関連事業
自民党の二階俊博幹事長が就任後、初めて臨んだ予算編成。自らが提唱した「国土強靱(きょうじん)化」の関連費は社会保障費などが膨らむ中で3兆7千億円を確保し微増。公共事業への批判に、防災をテコに切り返す手法は幹事長として確立した感があるが、先細る財政で持続可能かが問われそうだ。
「私が(政府に)『やれ』と言えばやらざるを得ない。災害は待ったなし。自民党は国造りや国土強靱化というテーマに沿って日頃から研鑽(けんさん)を積んでいる」
二階氏は19日、この夏、台風被害に見舞われた北海道で地元衆院議員の会合で講演し、こう胸を張った。
当初予算案には、国土強靱化関係予算案の主な取り組み施策例として、北海道の名を挙げて「水害対策の強化」が盛り込まれた。
ほかにも公共施設や交通インフラの耐震化などがずらりと並ぶ。22日の二階派の会合では、各議員から予算獲得の状況が報告され、「二階幹事長のおかげだ」との声が上がった。
公共事業費は1997年度をピークに減少していたが、自民党が政権に復帰して編成した2013年度から増加に転じた。その推進力が強靱化予算。二階氏が東日本大震災後から提唱し、13年に議員立法で基本法が成立。防災事業に重点投資しながら、経済成長や地方振興につなげるという仕組みが予算編成で位置づけられるようになった。
14年度に3兆3千億円、その後は3兆円台後半で推移。その多くを占める国土交通省の中堅が「『強靱化』を付けなければ政策が通らない」と語るほどだ。
二階氏は11月下旬、津波防災の催しであいさつし、「マスコミが『公共事業いらない』なんて書きまくるから遠慮する人もいるが、命と交換なんだから。他に後回ししても良いことはいっぱいある」と断言した。
党本部4階の幹事長室には連日、自治体や業界団体、経営者らが列をなす。二階氏は陳情を受けると、その場で省庁幹部や議員に電話し、「一つ、よろしく」。支援者の一人は、二階氏が新人時代に師事した故田中角栄元首相に「似ている」と声をかけた。
二階氏自身は朝日新聞のインタ…