トヨタ自動車労働組合は21日、2017年春闘の要求で、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)について組合員平均で月3千円とする執行部案を固めた。トヨタの17年3月期は5年ぶりに営業減益に転じる見通しだが、グループ全体の賃上げが欠かせないと判断し、前回と同額を要求する。
ベア要求は4年連続で、2月に正式決定する見通し。期間従業員の待遇改善や、一時金の水準は引き続き検討する。上部団体の自動車総連や全トヨタ労連が、月3千円以上のベア要求を掲げる方向であることを踏まえた。
トヨタ労組は16年春闘も月3千円(回答は1500円)のベアを求めた。16年3月期の営業利益は過去最高の約2兆8500億円だったが、中小の部品メーカーなど、経営体力の劣る下請け企業との業績格差に配慮して要求水準を抑えた。
これに対して、17年春闘は業績悪化が見込まれるものの、グループ全体の賃金の底上げを重視する観点から、ベアの要求水準を維持する。中小労組の強気の要求案づくりを後押しするねらいもある。
トヨタは円高や米国販売の伸び悩みから17年3月期は前年より4割の営業減益を見込んでいる。トランプ氏の米大統領就任が決まって以降、為替相場が円安に振れ、経営を取り巻く環境は好転しているものの、会社側とは厳しい交渉が予想される。(高橋諒子)