クリスマスの夜の食卓に難民の家族を招きませんか――。ブラジルのNGOが呼びかけたキャンペーンに、同国全土から約2千世帯が受け入れに手を挙げた。予想以上の多さに対応が追いつかず、今回招かれるのは難民の15家族に限られたが、夕食への招待はクリスマス以降も月1度のペースで続ける予定という。
企画したのはNGO「ミグラフリックス」。世界で難民受け入れを巡る対応や差別が問題になるなか、クリスマスをきっかけに異文化間の理解を少しでも深めたいと考え、今月上旬に呼びかけを始めた。
今回、選ばれた15家族は、シリアやパレスチナなどの出身で、クリスマスイブとクリスマスの夜のどちらかに、ブラジルの家庭の夕食に招かれる。難民側は郷土料理を1品つくり、受け入れ側の家族は、七面鳥やポテトサラダなどブラジル風のクリスマス料理でもてなす。
ブラジルは多民族が集まってつくられた移民国家で、欧州だけでなくアラブ系の人も多い。現在は8千人以上の難民が暮らす。
NGOの幹部の一人でアルゼンチン人のジョナサン・ベレゾブスキさん(29)は「差別や拒絶は、相手を知らないことから始まる。クリスマスの夕食を通して互いを知り、難民との距離が少しでも縮まればいい」と話している。(サンパウロ=田村剛)