音楽室で体を動かしながら楽器を演奏する益城中学校の吹奏楽部員たち=熊本県益城町、大森浩志郎撮影
熊本地震で2度の震度7に見舞われた熊本県益城町の益城中学校吹奏楽部が25日、町内で恒例のクリスマスコンサートを開く。昨年の全日本ブラスシンフォニーコンクールで日本一になった実力を持つ。被災を乗り越えた生徒たちは、地元への感謝の気持ちを込めて音楽のプレゼントをする。
23日、補修工事の音が鳴り響く益城中の音楽室に楽器の音色が響いた。
4月の地震では音楽室は大きな被害を受けなかったが、練習で使う教室や渡り廊下が使えなくなった。5月10日から練習を再開したが、37人の部員の中には、自宅の片付けで練習に来られない生徒や、町外の避難先から通う生徒もいた。
部長の日隈涼華さん(3年)は「音や気持ちが一つにならなかったこともあった」。7月の県吹奏楽コンクールは8年連続の金賞だったが、九州大会出場権は逃した。
しかし、県外の学校から励ましの手紙や色紙が届き、連日のように卒業生が指導に訪れてくれたことで、「部員たちに感謝の気持ちが浸透していった」(西田圭顧問)という。
コンサートは今年13回目。地域の人に来てもらいたいと、部員たちが協力して町の応急仮設住宅などにポスターを貼った。
「ムーンライトセレナーデ」や「ウィンターワンダーランド」など約10曲を演奏予定。日隈さんは言う。「みんなの心がひとつになる瞬間を強く感じる。町が復興するよう、感謝の気持ちを演奏に出せたらいい。皆さんに元気になってもらい、心の支えになりたい」
午後6時から、町文化会館で。入場無料。(大森浩志郎)