名古屋市長選への立候補を表明し、公約を発表する岩城正光氏=市役所
来春の名古屋市長選に、前副市長で弁護士の岩城正光(まさてる)氏(62)が27日、無所属で立候補することを正式に表明した。市長選への立候補表明は岩城氏が初めて。市民税減税を廃止し、増収分で小学校の給食費を無償化する公約を掲げ、まだ去就を明らかにしていない河村たかし市長(68)との対決姿勢を鮮明にした。
岩城氏は市役所で記者会見し、「河村市長の思いつきや思い込みの指示で、市政の混乱と停滞を招いている。8年間の空白を早く埋め戻さなければ、活力のある名古屋が創造できない」と立候補の動機を語った。
河村氏の看板政策である一律5%の市民税減税については「悪法」と批判。小学校の給食費無償化の財源に必要な財源約50億円は、減税を廃止して生み出す考えを示した。河村氏が2022年完成を目標に掲げる名古屋城天守閣の木造復元も「なぜ急ぐのか。天守閣さえやれば人が来るというのは錯覚だ」と指摘し、市民の合意形成からやり直す考えを示した。
一方、河村氏が年800万円に引き下げている市長給与は「今のままで続ける」という。今年度に年800万円から1455万円に引き上げられた市議報酬については「市の報酬審議会を活用し、市長が諮問して見直す」と述べた。
岩城氏は今後、自民、民進、公明、共産各党に公約を示し、推薦を求めるという。自民党市議団は岩城氏の支持母体となる市民団体と連携して河村市政の検証作業を進めているが、他党に目立った動きはない。
岩城氏は子どもの虐待防止に取り組むNPO法人の元理事長で、河村氏に請われて13年6月に副市長に就任。だが、福祉や教育の分野で河村氏と意見が対立し、任期を1年残して今年5月に解任された。11月に市民団体を発足させ、立候補の準備を進めていた。(関謙次)