スペイン代表監督の後任に指名されたフェルナンド・イエロ氏=ロイター
衝撃のニュースが駆け巡ったのはワールドカップ(W杯)開幕前日の13日、2026年大会開催国を決めるFIFA総会の最中だった。
スペイン、ロペテギ監督解任 レアル監督就任巡り
スペインにとっては第1戦の2日前。しかも、宿敵ポルトガルとのイベリア半島対決を控えての監督解任劇。1カ月に及ぶ長丁場にピッチ内外の事件はつきものだから、W杯らしい開幕といえるかもしれない。
今季、欧州チャンピオンズリーグ(CL)で3連覇したレアル・マドリードが前日にロペテギ代表監督の来季からの就任を発表していた。
スペイン協会のルビアレス会長は、我々の雇う監督とレアルとの合意を知ったのは就任発表の5分前だと明かしている。しかも、1カ月前に20年までの契約延長を結んでいた。「交渉自体は問題ないが、協会に知らせずに進めていたことが問題なのだ」。暗に、しかし、痛烈にレアルを批判した。
クラブとその国の協会のあつれきは欧州では当たり前だ。レアルのようなビッグクラブなら影響力も大きい。地位もレアル監督の方が上だ、という意識も強いだろう。おそらく、けた違いの報酬で引き抜くことにためらいなどない。
この手の話にはきな臭さがつきまとう。
なぜ、レアルはこのタイミングで発表したのか。クラブを離れる可能性をほのめかしたポルトガル代表FWクリスティアノ・ロナルドに対し、決断を急がせる材料を示したのか、前任のジダン監督と比べれば、カリスマ性のない監督を迎えることで決別を伝えたいのか。そう勘ぐりたくもなる。
一方のルビアレス会長は協会の立て直しを掲げて、5月に就いた。早々に弱腰な姿勢を見せたくなかったのかもしれない。
後任に指名されたイエロ監督は実績に乏しいが、「ノーという自分を許せなかった」。すっきりしない監督交代のあとに、チームがどう反応するのか。スペインも、真価が問われるW杯になる。