安全保障技術研究推進制度
2017年度の防衛省予算案に、大学などの研究機関を対象にした研究費制度の費用として、概算要求通りの110億円が盛り込まれた。武器輸出を進める自民党国防部会の提言に押され、今年度の6億円から大幅に増えた。日本学術会議で軍事と学術を巡り検討が続き、同省研究費制度への応募を禁じる大学も出る中、制度だけが着々と拡充している。
防衛省研究費助成、大学の対応割れる 軍学の「一線」は
政府が22日に閣議決定した17年度予算案で大幅に増額されたのは同省が管轄する「安全保障技術研究推進制度」。事業費は制度開始の15年度が3億円、16年度は6億円。従来は比較的小規模なテーマに、1件で年間最大約3千万円が支給されていた。17年度からは、1件あたり5年で数億~数十億円の大規模プロジェクトを新設する。
制度が目指すのは、壊れない電子機器や高温に耐える材料、効率よく高出力を得られる素子など、極限状況で使える技術の開発だ。防衛装備庁の担当者は、純粋な基礎科学ではなく、「将来の装備品の研究開発を効率的・効果的に行うために、将来民生用にも使える効果的な基礎研究を求めている」と話す。
予算急増の背景には、軍産学の連携を重視する政府方針がある。13年に閣議決定された防衛計画の大綱や、今年1月に決まった第5期科学技術基本計画で「国家安全保障上の諸課題に対し、関係府省・産学官連携の下」で、科学も防衛研究に貢献する方針が示された。大塚拓・財務副大臣が部会長を務めていた自民党国防部会は5月、「科学研究の促進が技術的優位につながる」として大幅増額を提言した。
こうした政府主導の軍学接近の…